「朝は食欲がわかない」「無理に食べさせると嫌がる」――そんなお悩みを抱えるご家庭は少なくありません。
特に思春期や成長期の子どもは体のリズムが不安定で、朝からしっかり食べることが難しい場合も多いのです。

朝ごはんを出しても、なかなか食べてくれない…
せっかく作ったのに口をつけなくて、つい“食べなさい!”って言っちゃう…
でも、無理に食べさせようとすると泣いちゃうし、どうしたらいいのか分からなくて困っちゃうって悩み多いですよね…
しかし、朝食を抜くと集中力や体調に大きな影響が出てしまいます。そこで今回は、食が細い・偏食気味な子が朝から無理なく食べられる工夫を、具体例とともにご紹介します。
1. なぜ子どもは朝に食欲がわかないのか?
まず知っておきたいのは、子どもが朝に食欲が出ないのは「個性」や「好き嫌い」だけが原因ではない、ということです。



だって朝はお腹が空いてないんだもん…。まだ眠いし、食べる気がしないよ…
- 自律神経の切り替えがうまくいかない
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夜は副交感神経が優位で胃腸が休んでいます。朝になると交感神経が働き始めますが、成長期の子どもはこの切り替えがスムーズでなく、胃腸がまだ眠ったままの状態になりがちです。
- ホルモンの影響
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思春期はホルモンの分泌が不安定で、食欲に波が出やすい時期です。特に女の子は生理周期によっても食欲の変化が大きくなります。
- 生活習慣の乱れ
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夜遅い夕食や寝る直前の間食は翌朝の胃もたれにつながり、食欲を減退させます。
2. 朝食を抜くことで起きるデメリット
「食べたくないなら無理に食べなくてもいいのでは?」と思うかもしれません。



無理に食べさせない方がいいのかな…?
ですが、朝食を抜くことには次のようなデメリットがあります。
- 集中力の低下
脳のエネルギー源は糖質です。朝に糖が補給されないと、授業や勉強に集中できません。 - 気分の不安定さ
低血糖はイライラや不安感を引き起こします。ちょっとしたことで機嫌が悪くなるのも、血糖値の乱れが原因のひとつ。 - 栄養不足の慢性化
食が細い・偏食の子はただでさえ栄養が不足しがち。朝食を抜くとさらに栄養不足が進み、体調不良や免疫力低下につながります。
3. 無理なく食べられる工夫4つ
ここからは実践的な工夫をご紹介します。ポイントは「食べやすさ」と「少しでも口に入れること」です。
3-1 飲む朝食にする
固形物がつらい子には液体からスタート。
- バナナ+豆乳スムージー
- 温かい野菜スープ
- 甘酒+ヨーグルト
消化にやさしく、短時間で栄養が摂れます。



これなら少しなら飲めそう!
3-2 小さなサイズにする
「おにぎり1個は多い」と感じる子も、ひと口サイズなら食べやすいです。
- 一口おにぎり
- 小さなパンケーキ
- クラッカー+チーズ
“これなら食べられる”という安心感が大切です。



ひと口サイズなら食べられるかも!
3-3 消化にやさしい食材を選ぶ
朝は胃腸がまだ動いていないため、消化に負担をかけない食品を選びましょう。
- バナナ
- 蒸したさつまいも
- おかゆ
温かいものの方がさらに胃にやさしいです。
3-4 たんぱく質をちょこっと加える
不足しやすいたんぱく質を少しでも加えることで、体づくりや気持ちの安定につながります。
- ゆで卵半分
- チーズひとかけ
- 豆乳やヨーグルト
「全部食べなくてもOK」と伝えることで、子どもが安心して口にできます。
また、どうしても食欲がわかない日や、忙しい朝には 市販の高たんぱく飲料を利用するのもひとつの工夫 です。手軽にたんぱく質を補えるので、食材とあわせて活用すると安心です。
4. おすすめ朝食メニュー例
すぐに実践できる簡単な組み合わせをご紹介します。
- 豆乳バナナスムージー+クラッカー
- ゆで卵ハーフ+一口おにぎり
- 温かい野菜スープ+チーズ
- さつまいも+ヨーグルト
すべて“少しでも栄養が摂れる”工夫がされています。
5. 習慣化のコツ:親ができるサポート
工夫した朝食を一度出すだけでは習慣になりません。親の関わり方がとても大切です。
- 「一口でいい」と伝える
プレッシャーをなくし、安心してチャレンジできるように。 - 食べやすい工夫をする
ストローで飲める、手で持てる、など「食べやすさ」を優先。 - 親も一緒に食べる
「家族で食べる雰囲気」が一番の習慣化サポートになります。



“ひと口でいい”と思えると、ママも気持ちがラクになるよ
6. まとめ:朝食は「完食」より「スタート」
食が細い・偏食気味な子にとって大事なのは「たくさん食べること」ではありません。
ひと口でも習慣にすることが、子どもの体調や集中力、気持ちの安定につながります。



食が細い・偏食気味な子の朝ごはん問題は、栄養面だけでなく 生活習慣・心理・家族の関わり方 も深く影響しています。
夜遅い生活リズム、親子のコミュニケーション不足、学校や友人関係のストレスなどが、朝の食欲に直結することもあります。
また「母親が一人で頑張らなければ」と思い込むと、親子ともにストレスが高まってしまいます。
家族全体で“朝はひと口でも食べよう”と声を掛け合うこと、そして必要なら 学校の保健室・地域の保健師・小児科や栄養士への相談 を取り入れることも大切です。
食べられない背景には「体」「心」「生活環境」が複雑に関わっています。
社会福祉士としての経験からも、無理に食べさせるより「安心できる雰囲気」をつくることが、子どもの食欲や元気につながると感じています。
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